太陽光発電を設置する際に心配なのはやはりそのお値段…
そんな悩みを解決するのが今回紹介する「PPAモデル」です。
環境問題に意識が向けられ再生可能エネルギーの需要が高まっている中、新しいビジネスモデルであるPPAモデルが誕生しました。
PPAモデルは第三者所有モデルとも呼ばれ、需要家が提供したスペースに事業者が無償で太陽発電を設置し、電気の利用者は安価な料金でその電気を買い取るといったシステムになっています。
主に米国で普及されているPPAモデルですが、日本ではまだ一般家庭には普及が拡大しておらず、あまり認知されていないのが現状です。ここではそんなPPAモデルについてメリット・デメリットや自費で太陽光を設置した際との比較も徹底的に解説します。
太陽光発電の設置を考えている方は是非参考にしてください!
PPAモデルとは

(出典:PPAモデル(第三者所有モデル)│オリックス株式会社)
PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略称であり、主に米国を中心に普及が進んでいるビジネスモデルのことです。
環境問題への取り組みが重視される中、日本でも新しい電力販売モデルとして太陽光発電のPPAモデルが着目されるようになりました。
これは「第三者所有システム」「コーポレートPPA」とも呼ばれ、電気の利用者である需要家が提供したスペースにPPA事業者が太陽光発電設備を無償で設置・運用を行い、需要家はそこで発電した電気を安価な料金で利用するシステムのことを指します。
(参考:ECO-LABO)
自社または個人で太陽光発電システムを購入した場合、余った電気は売電することが出来ますが、PPAモデルの場合設置を始めとした管理・運用は全てPPA事業者が行うため、需要家はあくまで使用分の電力を購入することになります。その代わり初期費用や維持費・管理費といったメンテナンス費用がかからないため、需要家の負担を最小限まで抑えることができます。
2020年の10月に脱炭素社会に向けて2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする「カーボンニュートラル宣言」が出されてから、より一層再生可能エネルギーに対する需要が増えたことで、新しいモデルとしてのPPAモデルも日本で注目されるようになりました。
PPAとPPAモデルの違い
PPAとは事業者と需要家との間で長期的に結ばれる電力購入契約のことを指します。
日本ではPPAとは本来の意味ではなく「PPAモデル」のことを意味することがほとんどです。
PPAモデルにもいくつか種類があり、大きく分けて「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の2種類があり、更にフィジカルPPAから「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」に分類されます。
オンサイトPPAは需要家の屋根や敷地内のスペースを利用して電力契約を行うことで、オフサイトPPAは敷地外を利用した電力契約です。
日本では2019年に初めてオンサイトPPAが導入されてから、多くの企業がこれを取り入れるようになりました。
【PPAモデルのメリット・デメリット】本当に太陽光システムが全額無料?

日本を含め各国で注目されるようになったPPAモデルですが、その魅力は一体どこにあるのでしょうか。またデメリットも詳しくまとめましたので参考にしてください。
メリット
- 初期費用0円
- メンテナンスなどの管理がいらない
- 再エネ賦課金を削減することができる
- 資産計上されない(オフバランス化ができる)
- CO₂を削減し省エネができる
- 契約終了後発電設備が無償譲渡される
①初期費用0円
基本的に太陽光発電設備を設置するのにかかる費用は事業者側が負担するので、無料で設備を導入することができます。
一般的に太陽光発電設備を導入するのにかかる費用は、10kW未満の住宅用で平均26.1万円/kW、10kW以上の産業用では平均23.6万円/kWです。
電気代削減や売電収入で元が取れるとはいえ、初期費用の負担は大きくなっています。PPAモデルを利用することで、その負担をなくすことが可能です。
②メンテナンスなどの管理がいらない
太陽光発電設備を長期的に維持するためには、メンテナンスは不可欠です。
しかし導入後のメンテナンスや管理は全て事業者が請け負うため、契約期間内であれば費用や管理の心配をする必要はありません。
金銭的な負担や面倒な手間をかける必要がないので、気軽に導入できるのがPPAモデルの大きなメリットですね。
③再エネ賦課金を削減することができる
正式には「再生エネルギー発電促進賦課金」と呼ばれるもので、電気の利用者が毎月の電気料金にあわせて請求され、集められた再エネ賦課金は再生可能エネルギーで発電した電気を買い取るのに利用します。

再エネ賦課金は経済産業大臣によって毎年度単価が決められていますが、年々その単価も高騰して現在では年間1万円近くもかかっています。
電力市場価格の高騰により、2023年度の賦課金単価は安くなりましたが、今後太陽光などの再生可能エネルギーの普及が進めばまた単価が上がる可能性も考えられます。
しかしこのPPAモデルを導入することで太陽光発電による電気を使用した場合、再エネ賦課金の対象外となるため電気料金をさらに抑えることが可能です。
④資産計上されない(オフバランス化ができる)
一般的にPPAモデルを導入した場合、資産計上されないためオフバランス化できる可能性があります。ただオフバランス化できるかどうかは監査法人への確認が必要になるので注意してください。
⑤co₂を削減し省エネができる
太陽光発電は日本で主流の再生可能エネルギーとして普及されていますが、やはり費用面での負担も大きいため導入を躊躇している方も多いと思います。
しかしこのPPAモデルを導入することにより、費用の負担を抑え社会や環境に大きな貢献をすることができます。
⑥契約終了後発電設備が無償譲渡される
一般的なPPAモデルは、契約終了後に太陽光発電設備を電気使用者に無償譲渡する契約が増えています。その後のメンテナンス費用や管理は全て自己負担になりますが、発電システムは引き続き利用することができます。
今まで支払っていた電気料金も支払う必要がなくなるため、電気料金の削減効率も大きくなります。
契約内容は企業ごとに異なりますが、費用をかけず太陽光発電設備を個人所有できるのは大きいことですよね。
デメリット
- 交換・処分が自由にできない
- 契約が長期にわたる
- 導入に条件がある
①交換・処分が自由にできない
太陽光発電設備を設置する屋根や敷地などのスペースを提供するのは電気利用者である需要家ですが、あくまでも所有権は事業者にあるので、契約期間内は交換・処分を自由に行うことはできません。
②契約が長期にわたる
基本的にPPAモデルを導入した場合契約は15~20年と長期にわたり、その間はスペースを提供し続けなければいけません。建物を壊したり電気契約を他社に変えることができなくなるので注意が必要です。
解約の際は違約金が発生する場合もあるので、契約する際は長期にわたることを考慮して契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。
③導入に条件がある
需要家が提供するスペースはどこでもいいというわけではありません。
屋根の形状や強度・日射条件や地域によっては太陽光発電設備を設置できない場合があるので確認が必要です。
PPAモデルを取り入れている日本の企業事例
PPAモデルが日本で導入されるようになったのは比較的最近のことなので、まだ事例は多くはありませんが、有名な企業事例をいくつか一覧にまとめたので参考にしてください。
| 企業 | 概要 |
| イオン | 2019年に滋賀県の店舗に国内で初めてオンサイトPPAモデルを導入 200店舗以上の設置を拡大予定 |
| キリンビール | 2021年に4工場にPPAモデルを導入 2022年にはさらに3工場に導入を検討 |
| オリックス | 2020年に岐阜と静岡のスーパーマーケットにて第一号案件の稼働を開始 |
| 第一 生命 |
クリーンエナジーコネクトと20年の長期契約を締結し、大規模オフィスビル3棟に導入 オフサイトコーポレートPPAを利用して農地の跡地に設置 |
今回紹介したのは一例ですが、脱炭素化社会に向けて多くの企業がPPAモデルの導入を開始しています。農地の跡地を利用したり土地を再利用することで、環境に配慮して太陽光発電を設置できるのがPPAモデルの大きな特徴ですね。
工場や大型店舗など、特に大量に電力を消費する企業がPPAモデルを導入していることがわかります。
PPAモデル導入と自費で太陽光発電を設置するのはどっちがおすすめ?
ここまでPPAモデルのメリットとデメリットを紹介しましたが、実際にPPAモデルを導入するのと従来のように自費で太陽光発電を設置するのはどちらがよいのでしょうか?
| PPAモデル(第三者所有) | 自費で設置(自家消費型) | |
| 所有権 | PPA事業者 | 自社または個人 |
| 電気 料金 |
有料(利用した分) | 無料 |
| 初期 費用 |
不要 | 必要 |
| メンテナンス | 不要 | 必要(維持費・管理・保険) |
| 事業 期間 |
長期契約(15~20年) | 10年程で投資分を回収 |
所有権
PPAモデルは太陽光発電の所有権はPPA事業者にありますが、自家消費型では自社や個人がその所有権を持ちます。
電気料金
PPAモデルは使用した分の電力を事業者に支払う必要があるので電気料金が有料になりますが、自家消費型では太陽光発電で発電した電気は全て無料で使うことができます。また自家消費型で発電した電気は売電できるので、太陽光投資の側面では大きなメリットがあります。しかしFIT(固定価格買取制度)の見直しにより、年々買取価格が低減しているので今後も上手くいくとは限りません。
初期費用
PPAモデルは事業者が無償で太陽光発電を設置してくれるため、初期費用はかかりません。工事費含め設置費用は100~200万円程といわれていますが、自家消費型ではその全てを負担する必要があるため、簡単に設置することはできません。
メンテナンス
太陽光発電設備は長期にわたり利用するため定期的なメンテナンスが必要になります。PPAモデルはそのメンテナンスは全て事業者が請け負うので、その費用を支払う必要もありません。一方で自家消費型はメンテナンスが必要になるのと、保険なども全て自己管理になるので、手間がかかるのがデメリットになりますね。
事業期間
太陽光発電の寿命自体は20~30年ですが、初期費用の投資分を回収ができるのが約10年といわれています。PPAモデルは契約終了後に設備は無償譲渡されますが、15~20年の長期契約になるため太陽光投資をメインに考えている方にはおすすめできません。
このようにPPAモデルと自費で設置した場合とを比較すると、費用面だけでなく様々な違いがあるのがわかりますね。
太陽光発電の導入を考えている際は、契約モデルによって違いがあることを理解したうえで判断した方がいいと思います。
PPAモデルを提供している電力会社・事業
ここでは実際にPPAモデルを提供している電力会社や事業を紹介します。
各会社によって契約内容等違いますので、入念にご検討ください。
またここであげた会社はあくまで一部になります。
現在は産業用PPAモデルの事業者を比較する無料見積もりサービスもあるので、是非参考にしてください。
PPAモデルを活用するための方法・申請の流れ
PPAモデルを利用するまでの流れを簡単に説明します。申請方法は事業によって異なるので、詳しくは各ホームページをご確認ください。
[timeline]
[tl label=’STEP.1′ title=’PPA事業者を探す’]PPAを提供している事業者を選びます。契約期間・電気料金プラン・太陽光発電導入の実績などを比較しましょう。自宅の屋根に長期間載せるものですから、信頼できる事業者を選ぶのが重要です。[/tl]
[tl label=’STEP.2′ title=’PPA契約を結ぶ’]PPA事業者が決まったら、設置場所となる土地や建物の現地調査を行い、契約へと進めます。[/tl]
[tl label=’STEP.3′ title=’太陽光発電システム設置’]契約が結べたら、さっそく工事開始です。設置費用も、PPA事業者が負担します。[/tl]
[tl label=’STEP.4′ title=’発電開始’]施工が完了したら、太陽光発電が開始できます。契約期間中はPPA事業者から電気を購入します。発電設備の保守管理もPPA事業者が行うので安心です。[/tl]
[tl label=’STEP.5′ title=’契約満了後は無償譲渡’]10~20年の契約期間が終了したら、太陽光発電システムは契約者に無償で譲渡されます。太陽光パネルの寿命は30年以上とも言われているので、その後も太陽光発電した電力を使用可能です。[/tl]
[/timeline]
まとめ
ここまでPPAモデルについて詳しくまとめましたが、自家消費型太陽光発電との違いがわかりましたでしょうか?
日本ではまだ認知が低く一般住宅用PPAモデルは少ないですが、環境問題への取り組みが意識される中PPAモデルの期待はだんだん高まってきています。一般家庭でも幅広くPPAモデルが普及されるようになるのを期待したいですね。
