CO2削減はメリットがいっぱい!地球を守るためのアクション

二酸化炭素(CO2)を削減するメリットとデメリット

1997年、京都に世界各国の代表者が集まり第3回目の国連気候変動枠組み条約の締結会議、COP3(Conference of Parties)が開催されました。

この会議で採択された国際条約が「京都議定書」です。

京都議定書とははこの会議に出席した全ての先進国に対して「二酸化炭素(CO2)を1990年比で2008年から2012年の間に5%削減すること」を求めるものです。

さらに国ごとにも二酸化炭素(CO2)の削減目標が定められており、日本は6%の削減を取り決めました。

このように、今や世界各国が地球を守るための責任として二酸化炭素(CO2)の排出量削減に取り組んでいます

しかし、国が取り組むだけでは目標とする二酸化炭素(CO2)削減量を達成することは難しいかもしれません。

目次

CO2を削減しなければいけない理由

現在地球は、温暖化の危機にさらされています。

その理由は二酸化炭素(CO2)をはじめとした温室効果ガスの排出量が、人間の社会的および経済的な活動によって増加し、地球の表面温度を上昇させているためです。

この傾向は、産業革命を境に表れ始めました。

地球は約46億年と言われるその歴史において、自然による気候変動を繰り返しています。

しかし、その気候変動とは何万年もかけて1℃程度の気温が上下するという非常に穏やかなものでした。

現在注目されている人為的な温暖化のスピードは、自然な気候変動のペースをはるかに上回り、たった100年から200年の期間に約1℃気温が上昇しています。

このような地球温暖化による気温の上昇が進むことによって、北極海の海水の減少による生態系の変化や、海面上昇により海抜が低い島が海に沈んでしまうことによる国土の減少や消失などが起こると予想されています

また、水害やハリケーン、大規模な森林火災や干ばつの長期化などの自然災害の極端化も世界中で起っています。

これらは経済システムやインフラに大きなダメージを与えるだけではなく、感染症の発生や農作物へ悪影響を与えることにもつながります。

このような地球規模の温暖化が進むと、将来食糧問題も起こる可能性が高く、現在の事態は非常に深刻であるといえるでしょう。

この深刻な事態を打破するために、世界各国で二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する取り組みが行われていますが、個人でも二酸化炭素(CO2)削減の取り組みを行うことで地球温暖化の進行を緩やかにし、やがては止められるように努力しなければならないのです。

CO2を削減するための日本政府の取り組み

日本政府も、2050年の脱炭素化社会の実現に向けて二酸化炭素(CO2)排出量の削減のためのさまざまな取り組みを行っています。

ここでは、その取り組みについて解説していきます。

①2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

「2050年カーボンニュートラルに伴なうグリーン成長戦略」とは、2020年12月に発表された戦略を2021年6月に経済産業省がより具体化させたもののこと。

この「グリーン成長戦略」とは、環境適合と経済成長をバランスよく循環させるための産業政策のことです。

このグリーン成長戦略の具体的な政策は、今後10年間2兆円のグリーンイノベーション資金の政府による創設、投資促進税制、金融市場のルールを作ることで技術革新へのファイナンスを呼び込むこと、規制の改革と標準化による価格低減と需要の拡大などとなっています。

②改正温対法の成立(2021年5月)

温対法とは、地球温暖化対策推進法の略で、地球温暖化を食い止めるための施策を国や地方自治体、事業者、国民の全てが一体となって取り組むために制定された法律です。

その内容では、温室効果ガスの排出量の報告義務や排出量の抑制等について定められていて国や地方自治体、事業者、国民の全ての役割を明確にし、それぞれに責務を与えています。

具体的な事業者の責務として、「製品改良や国際協力など他者への取り組みへの寄与」、「排出する温室効果ガスの抑制」、「国や自治体の施策への協力」などが定められています。

この温対法は平成10年に成立しましたが、その後京都議定書の内容に基づいて改正を重ね、令和3年に7回目の改正が行われました。

令和3年の改正は、2020年の秋に宣言された「2050年カーボンニュートラル」を基本理念として行われ、この法律により地球温暖化対策に関する長期的な方向性が定められたことで、国の政策の予見可能性や継続性が高まり、また事業者や自治体もさらに自覚を持って地球温暖化対策への取り組みを行うことができるようになりました。

③地方自治体の施策目標に脱炭素を追加

地方自治体のゼロカーボンシティー化を含めた地域における脱炭素化のために、その地域の社会的および自然的な条件に応じた再生可能エネルギー利用促進などの施策に関する事項を自治体の施策に関する事項に加えることで、施策の実施に関する目標を定めています

④カーボンニュートラルに役立つ投資の促進税制

「2050年カーボンニュートラル」という2050年までに排出する温室効果ガスの量を実質的にゼロにするという高い目標に向けて、工場などで製品を製造する際やオフィスで作業を行う際などの脱炭素化に役立つ設備や、脱炭素化を加速させることができる設備に対して、税制上において国が支援を行う措置が創設されました。

その内容は、産業競争力強化法の改正法である「中長期環境適応計画(仮称)」の認定を受けた青色申告を行う法人が、「中長期環境適応計画(仮称)」の内容に従って導入する一定の設備などの取得を行い、国内で事業を行う際に使用する場合には、特別償却または税額控除を受けることができるというものです。

この税制によって、企業は二酸化炭素排出量の削減に役立つ設備の導入を行いやすくなります。

CO2削減により得られるメリット

二酸化炭素(CO2)を削減することにより、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

ここではそのメリットを、オフィスと家庭に分けて解説していきます。

オフィスで得られるメリット

二酸化炭素(CO2)削減によりオフィスで得られるメリットには、次のようなものがあります。

①社会全体からの信頼性の獲得

環境省のガイドラインに基づいて第三者機関から認証をうけると、社会的な信用を得られます

さらに環境経営レポートを作成し外部に公表すると、消費者や取引先からの信頼性が向上する可能性が高くなるでしょう。

これはCRS(Corporate Social Responsibility)と呼ばれる企業の社会的責任の一環ともなります。

さらに企業のイメージアップを図ることも可能になり、このイメージアップにより費用を掛けた広告宣伝活動に勝るとも劣らないPR効果を得ることも不可能ではありません。

②ビジネスチャンス拡大の可能性

大手企業の多くは、取引条件のひとつとして環境改善に対する取り組みや環境経営システムの構築を行っていることを要求しています。

そのため、ISO14001やエコアクション21などの認定を第三者から得ることで、入札参加資格審査での加点や自治体からの補助などを受けることが可能になります。

このような事から、ビジネスチャンスが拡大します

③オフィスや工場維持のためのランニングコストの削減

オフィスや工場を維持するためには、光熱費などのランニングコストが必要。

電力の使用量を削減することで、間接的に二酸化炭素(CO2)の排出量を削減することができます

使用する電力量の削減方法については、後述します。

④金融機関にからCO2削減に関連する融資を受けることができる

金融機関の多くが「ISO14001」や「エコアクション21」に登録または認定されている事業者へ、低金利で融資を行う制度を導入しているため、借入もしやすくまた低金利で借入を行うことができます。

⑤経営面で良好な成果を挙げることも可能

地球環境を守るための対策に対応したシステムを構築し、継続的に改善を行っていくことで環境面のみならず目標管理の徹底、経費の削減や生産性と歩留まりの向上など、経営面でも良好な成果を挙げる効果が期待できます。

⑥持続可能な資源の確保が可能

例えば、化石燃料に頼った電力を使用し続けるなどの方法で環境に負荷を与え続ける経営を行っていると、のちのち事業を継続していくために必要な資源を調達できなくなることが考えられます。

再生可能エネルギーの使用など、環境に負荷を掛けない方法で経営を行うことで、持続的な資源を確保することが容易になり、経営もまた持続させることができるでしょう。

企業が環境対策に取り組むことで、企業のあらゆる利害関係者に対して良い影響を与え、経営を持続させるためのさまざまなメリットを得ることができます。

家庭で得られるメリット

二酸化炭素(CO2)削減により家庭で得られるメリットには、次のようなものがあります。

①光熱費の削減

家庭において最も簡単に二酸化炭素(CO2)排出量の削減に役立つことは、化石燃料により作られた電力の消費を抑えることです。そのもっとも手軽な方法は、節電です。

この節電を行うことにより、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を行うと同時に、光熱費の節約にも役立ちます。

②ごみの減量化・分別の手間が減る

ごみを焼却処分する際には、大量の二酸化炭素(CO2)が排出される以外に、ごみ処分場へのごみの運搬にもガソリンなどの化石燃料を原料としたエネルギーが多く消費され、これによっても二酸化炭素(CO2)が排出されてしまいます。

そのため商品を購入した場合には簡易包装で対応してもらうなどの方法でごみを減らすことにより、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすと同時にごみを減量化し、分別の手間も減らすことができます

③食品ロスの削減による食費の削減

食べきれずに捨てざるを得なくなってしまう食品を食品ロスと言いますが、これらの廃棄された食品を焼却処分する際にも、二酸化炭素(CO2)が排出されます

買い物を計画的に行うことで食品ロスを減らすと、二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるだけではなく、食費も節約できます。

④再生可能エネルギーの導入の際には補助金や助成金がもらえることもある

一番家庭で導入しやすい再生可能エネルギーは、太陽光。

この太陽光を利用して発電を行う太陽光発電システムを導入するためには多額の初期費用が必要になりますが、自治体によっては太陽光発電システムの導入時に補助金や助成金を受け取ることができるケースがあります。

このような補助金や助成金により太陽光発電システムの導入費用を低く抑えることができ、その後の売電収入などによって収支をプラスにすることも不可能ではありません。

CO2を削減するための具体的な方法

ここまで、二酸化炭素(CO2)削減で得られるメリットを解説してきました。

では二酸化炭素(CO2)を削減するためには、具体的にどのような方法を取れば良いのでしょうか。

ここでは、二酸化炭素の排出量を削減するための具体的な方法について解説していきます。

オフィスでできるCO2の削減方法

オフィスで行うことができる二酸化炭素(CO2)の削減方法には、以下のようなものがあります。

①再生可能エネルギーの利用

太陽光などの再生可能な自然エネルギーを利用することで、全くまたはほとんど二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンな電気を使用することができます

太陽光で電気を発電し、自社で消費する電力を賄うためには、工場や社屋の屋根に太陽光発電パネルを設置し、自家消費型の太陽光発電システムを導入する必要があります。

この自家消費型太陽光発電システムを導入すれば、太陽光で発電できる昼間の時間帯に使用する電力を電気会社から購入しなくて済むようになり、二酸化炭素(CO2)排出量の削減と電気料金の節約を行うことが可能になります。

②新電力への切替

電気の小売自由化によって電気の小売を始めた事業者の中には、100%再生可能エネルギーを利用した電力を提供している業者も存在します。

業者から電気を購入することで、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減することができます。

このような再生可能エネルギーのみを利用した電気を提供している業者は、東京電力エナジーパートナー、グリーナでんき、ミツウロコグリーンエネルギーなどがあります。

このような業者の中には、電気の供給エリアが限定されているものもあるため、自社がその供給エリア内にあるかどうかを確認して、利用したい業者を選ぶとよいでしょう。

③空調制御システムへの導入

リアルタイムに空調制御を行うことができる空調制御システムを導入することで、細かな空調制御を行うことができるようになり、節電を行うことができます。

このように空調制御システムを利用して、無駄に温度を上下させることを無くし節電を行うことで、間接的に二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えることができます。

④オフィスや工場の壁面への遮熱塗料の使用

遮熱塗料や断熱塗料を社屋や工場の壁面に利用することで、建物内部の気温の極端な上下を抑えることができ、空調費用を節約することができます。

空調にかかる電力を削減することが、間接的に二酸化炭素(CO2)の排出量の削減につながります。

遮熱塗料は、日本ペイントやアステックペイントなどのメーカーから販売されています。

⑤ビニールカーテンの活用

工場などの広い場所で空調機器を使用する場合、人がいない場所にも空調を効かせることで無駄な電力を使用してしまいます。

そのためビニールカーテンにより広い場所を区切って、人のいる場所だけに空調を効かせることで節電を行うことができます。

⑥エネルギーマネジメントシステム(EMS)によるエネルギーの見える化

エネルギーマネジメントシステムはEMSとも呼ばれ、社屋や工場内で使用されている電力を「見える化」することができるシステムのことを言います。

エネルギーマネジメントシステムそのものを導入するだけでは省エネと二酸化炭素(CO2)の排出量削減を行うことはできませんが、使用電力を見える化することにより経営陣や社員の節電に関する意識を高めたり、使用するエネルギーのうちどのエネルギーを削減すべきかという点を適格に把握したりすることができるようになります

⑦照明をLEDに変更する

照明は、多くのオフィスや工場で空調の次に多くの電力を使用しています。

このような照明をLEDに切り替えることで、省エネを行うことができます。

LEDは一般の電球と比べて約85%、電球型蛍光灯と比べて約27%の省エネにつながるため、大きな効果が期待できます。

⑧テレワークなどによる「働き方改革」

テレワークを導入することにより、交通費を支給している企業にとってはコスト削減になる以外にも、地球環境にかかる負荷が軽減されます

特に自動車通勤の社員が多い企業では、ガソリンの消費量が大幅に低下するため、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えることができます。

家庭でできるCO2の削減方法

家庭で行うことができる二酸化炭素(CO2)の削減方法には、以下のようなものがあります。

①冷暖房の温度をこまめに調節する

エアコンの冷暖房の温度は、たった2℃変わるだけで1日当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を約90g削減することができます。

そのため、室内の冷やしすぎや暖めすぎで無駄に電力を消費しないよう、こまめに温度の調整を行いましょう。

冷房は28℃、暖房は20℃を目安にすることをおすすめします。

②再生可能エネルギーの導入

家庭で使用しやすい再生可能エネルギーは、太陽光です。

自宅に自家消費用の太陽光発電システムを導入することで、太陽光による発電可能な昼間の時間帯の電気を賄うことができ、二酸化炭素(CO2)を発生させないクリーンなエネルギーを利用することができます。

太陽光発電システムは導入に多額の初期費用が必要になりますが、自治体によっては補助金や助成金を活用することが可能なこともあるため、一度お住いの地域の役場に問い合わせてみることをおすすめします。

③エコバックの活用や簡易包装の利用

ごみの減量も、二酸化炭素(CO2)排出量削減に非常に有効な方法です。

そのため、お店で商品を購入した場合には簡易包装を依頼したり、エコバックを利用してレジ袋を使わないなどの方法でごみを減らすことにより、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減することができます。

④洗濯にはお風呂の残り湯を再利用

自然界にある水を水道水にしたり、各家庭まで水道水が出るようにするためにはエネルギーを消費します。

そのためお風呂の残り湯を洗濯に利用することで省エネにつながり、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減することができます。

おふろの残り湯は、洗濯以外にも庭木の水やりなどに再利用することができます。

まとめ

ここまで、二酸化炭素(CO2)排出量削減のための日本の取り組みやその重要性、オフィスや家庭で二酸化炭素(CO2)の排出削減を行う際のメリットとその具体的な方法について解説していきました。

二酸化炭素(CO2)排出量削減の重要性や、自分でできる二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための具体的な方法についてお分かりいただけたと思います。

いまや二酸化炭素(CO2)排出量の削減は、国だけではなく個人個人も日常生活の一部として行わなければならない重要な課題のひとつとなっています。

ここで記述した内容をもとにして、今からでも始めることができる方法で二酸化炭素(CO2)削減を行うようにしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です