ずばり太陽光発電投資は儲かるの?儲からないの?

太陽光発電投資とは、住宅の屋根などに取り付ける太陽光発電設備も含めて、太陽光発電の電気を電力会社へ売却して利益を得ることを指します。また、東日本大震災以降、日本でもエネルギー問題などに注目が集まり、住宅用太陽光発電や産業太陽光発電投資について興味や関心が湧いている方もいるでしょう。

しかし、太陽光発電投資に関して儲かるという情報を見て、実際に儲かることができるか疑問に感じる方も多いです。また、固定買取価格が下落傾向であることなどから、太陽光発電投資が儲からないのではないかとイメージする場合もあります。

そこで今回は、太陽光発電投資の概要や特徴や儲かるケースについて、分かりやすく解説していきます。太陽光発電投資について、儲かるという言葉だけに捉われるのも良くありませんが、反対に儲からないと先入観で考えるのも利益を得られる機会を逃す要因になるので、客観的に知ることが大切です。

太陽光投資とは?

太陽光投資とは、太陽光発電所を購入して、売電収入で利益を得る投資方法です。ローリスクミドルリターンの投資方法として注目を集めています。

太陽光発電の仕組み

太陽光パネルはたくさんの太陽電池が集まったものです。太陽電池は、「n型半導体」と「p型半導体」という2種類の異なる性質をもつシリコンを貼り合わせて作られています。

太陽電池に光が当たると、n型半導体にはマイナス電気が、p型半導体にはプラスの電気が集まり、プラス極とマイナス極が形成されて電気が流れるのです。

発電の際に二酸化炭素を排出せず、太陽の光という無尽蔵のエネルギーを利用できるので、脱炭素社会の実現に欠かせない発電方法と言えます。

再生可能エネルギーとFIT制度(固定価格買取制度)の関係

FIT制度とは、再生可能エネルギー由来の電力を一定期間固定価格で買い取ることを、国が電力会社に義務付ける制度です。10kW以上の産業用太陽光発電所の場合、20年間売電価格が保証されます。

売電で安定的な収入が得られる環境を整えることで、再生可能エネルギーの普及を促進するのが目的ですFIT制度で電力の買取に必要な費用は、「再生可能エネルギー促進賦課金」として、全国民の電気料金に加算して徴収されています。

太陽光発電投資のリスクが低いと言われているのは、FIT制度により売電価格が固定されており、利回りが景気や市場によって変動しないためなのです。

太陽光発電投資で儲かるためには、収支に大きく影響するFIT制度について理解しておく必要がありますが、ここでは固定価格買取制度のポイントだけを紹介します。

1,固定価格買取制度は売電価格や固定買取期間を定めている

太陽光発電投資の場合、出力10kw以上ですと産業用太陽光発電に分類されるため全量買取と余剰買取どちらからも選ぶことができます。出力10kw未満の場合は、住宅用太陽光発電に分類されて、余剰買取のみが適用されます。

全量買取制度とは、太陽光発電で発電した電気全てを電力会社へ売却できることを指していて、余剰買取制度は太陽光発電で発電した電気のうち自家消費などを経て、余った電気のみを売却できます。

2,固定価格買取制度の売電価格は下落しているが儲かる

固定価格買取制度において特に注目すべきポイントは、固定価格が毎年改定されていて、近年では下落傾向となっている点です。

下記は、FIT価格の推移グラフです。

発足当初の2012年度は、住宅用で42円・産業用で40円でしたが、2023年の価格は住宅用16円・産業用9.5~10円と、4分の1程度に下落しています。

利回りは昔とあまり変わっていない

売電価格が安くなっているなら、今から太陽光発電投資を始めても儲からないのではと思う方もいるかもしれません。

しかし、需要の増加や技術の発達の結果、太陽光発電所の設備費も下がっているため、全体的な利回りはあまり変わっていません。

下記は、産業用太陽光発電1kWあたりの費用の推移です。年々安くなっていっているのが分かります。

このように、初期費用が少なく投資が始められるようになったため、太陽光発電投資はより幅広い方にすすめられるようになりました。

太陽光投資の利回りの計算方法

投資となると、利回りが気になりますよね。利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことを指し、「太陽光発電投資の年間利回りは10%」などというように使われます。

ただし、「表面利回り」と「実質利回り」との2種類の表記がありますので、物件を見る際に気を付ける必要があります。

表面利回り

表面利回りとは、初期投資費用と売電収入だけを考慮する収益率のことです。太陽光発電投資の場合、以下の式で計算できます。

年間収益÷初期投資費用×100%

例えば、太陽光発電所を1,500万円で購入し、1年間の売電収入が150万円だった場合、表面利回りは10%となります。

太陽光発電所の物件情報に記載されているのはこの表面利回りであることが多いです。

実質利回り

実質利回りは、メンテナンス費・税金・保険料などのランニングコストも考慮した収益率のことです。下記の式で計算できます。

年間収益-年間支出(ランニングコスト)÷初期費用×100%

つまり、実質利回りは表面利回りよりも実際に得られる利益を正確に表していると言えます。

太陽光発電投資でどれくらいの収入が得られるかは、物件情報の表面利回りだけをみて判断するのではなく、実質利回りを確認する必要があります。

太陽光投資を始めるなら新規物件と中古物件どちらがいい?

2022年以降の新規の太陽光物件は、FIT価格(売電単価)が低く、収益性があまり高くありません。

利回りが良くより売電収益を多くしたいなら中古の太陽光発電所がおすすめです。中古太陽光発電所で太陽光投資を行うメリットは、以下のとおりです。

  • 初期費用が抑えられる
  • FIT価格が高い
  • 発電実績が明確
  • 減価償却でき節税に役立つ

中古太陽光発電所は、太陽光発電所を新しく建設するよりも安く購入可能です。また、売電価格はその太陽光発電所が稼働した年のFIT価格が適用されるので、中古太陽光発電所の方が高く売電できます。

そのため、利回りが新規より中古の太陽光発電所の方が高くなる傾向があります。

これまでの発電実績を確認できるので、収益のシミュレーションも正確にでき、リスクが低いのも嬉しいポイントです。

節税対策に導入を検討している方にも、中古太陽光発電所はおすすめです。減価償却は、通常の太陽光発電所の耐用年数17年ではなく、経過年数を考慮して耐用年数を計算して対応します。

中古太陽光発電の耐用年数の計算式は以下の通りです。

(法定耐用年数 – 経過年数)+ (経過年数 × 20%)= 耐用年数

例えば、経過年数が5年の中古太陽光発電所を購入した場合、

17(法廷耐用年数)− 5(経過年数)+ 5(経過年数)× 20% = 1

となり、耐用年数は13年ということになり、その間減価償却できます。

太陽光発電投資で儲かることを知るには発電と売電の仕組みを理解する

太陽光発電投資が儲かるといわれても、仕組みを知らなければ儲かるかどうか信用しにくいですよね。

ここでは太陽光発電投資の仕組みについて解説します。住宅用と産業用の違いや太陽光発電の種類、固定価格買取制度の意味などは、太陽光発電投資を行う上で特に必要な内容なので、ポイントだけでも理解しておけば儲かる仕組みが分かります。

太陽光発電投資を始めるには土地や建物が最低限必要になる

太陽光発電投資とは、文字通り太陽光発電設備を導入し発電によって得た電気を電力会社に売却して、利益を得ることを意味しています。更に、太陽光発電設備を設置するための土地や建物が必要となります。

そして、一般の方が太陽光発電投資と聞いてイメージするのは、住宅の屋根に太陽光パネルを取り付けるタイプの発電設備を想像するでしょう。

ただ太陽光発電には、住宅の屋根に設置するタイプと広い土地に架台を設置して、その上に太陽光発電設備を取り付けるタイプの主に2種類があります。

ですので、住宅の屋根に設置している太陽光発電投資も勿論ありますが、事業的規模で儲けることを検討している場合は、発電量の多い産業用太陽光発電を選ぶのが適切です。

太陽光発電投資で出力によって売電収入と運用方法が変わる

住宅用と産業用とよく区別していますが、正確には太陽光発電の出力で違いがあります。

10kw未満の出力を持つ太陽光発電が住宅用で、10kw以上2000kw未満の出力を持つ太陽光発電が産業用に分かれています。また、2000kw以上の太陽光発電も存在していますが、電力会社が取り扱う大規模発電ですので個人はコスト面で難しいです。

また出力によって固定買取期間が10年間と20年間に分かれていたり、余った電気のみを売る方式と発電した電気を全て売ることができたりと、売電に関わる点で大きく違い運用方法にそれぞれ工夫が必要となります。

ですから、初期費用の負担に耐えられる資金がある方は、産業用太陽光発電投資を始めるのもいいですし、コストを考慮して出力10kw未満の住宅用太陽光発電を選ぶなど決めるといいでしょう。

家庭用と産業用太陽光発電の違いについて詳しくはこちら

太陽光発電投資には土地付き太陽光発電投資という商品も存在する

太陽光発電投資で儲かるといわれていても、そもそも賃貸住宅で別の土地も持っていないので設置できない方もいます。

それは土地付き太陽光発電投資という商品で、初めから土地もセットで販売しています。つまり、土地を別途購入せずとも太陽光発電の運用を行うことが可能です。また、出力10kw以上の産業用太陽光発電が基本ですので、事業規模として儲けることを考えている方には特にメリットが大きいです。

ちなみに土地付き太陽光発電投資を販売しているサイトがあるので、そこから予算や発電量など基本情報を確認しつつ、購入手続きを進めることができます

収益シミュレーション|太陽光投資を始めたらどのくらい儲かる?

実際の物件情報から、どのくらい利益が出るのかをシミュレーションしてみました。今回は発電実績のある中古の太陽光発電所を対象にしています。

元が取れるまでの年数は表面利回り(小数第2位で四捨五入)での計算です。実際にはランニングコストが生じるため誤差があることを理解した上で、参考にしてみてくださいね。

①大分県竹田市の中古太陽光発電所

設備価格 1,811万円
連係日 2018年11月
売電単価 21円
システム容量 84.96kw
年間想定発電量 71,922kWh

年間収益は、年間発電量71.922kWh × 売電価格21円 = 151万362円です。

表面利回りは、年間収益151万362円 ÷ 設備価格1,811万円 = 8.3%となり、12年で設備価格の元が取れます。

残りのFIT期間15年間で得られる収入の想定は、2,265万5,430円です。

②群馬県吾妻郡の中古太陽光発電所

設備価格 1,974万円
連係日 2020年4月
売電単価 18円
システム容量 90.88kw
年間想定発電量 91,885kWh

年間収益は、年間発電量91,885kWh × 売電価格18円 = 165万3,930円です。

表面利回りは、年間収益165万3,930円 ÷ 設備価格1,974万円 = 8.4%となり、11年で設備価格の元が取れます。

残りのFIT期間17年間で得られる収入の想定は、2,811万6,810円です。

③福岡県田川市の中古太陽光発電所

設備価格 1,271万円
連係日 2014年8月
売電単価 36円
システム容量 49kw
年間想定発電量 47,588kWh

年間収益は、年間発電量47,588kWh × 売電価格36円 = 171万3,168円です。

表面利回りは、年間収益171万3,168円 ÷ 設備価格1,271万円 = 13.5%となり、約7年で設備価格の元が取れます。

残りのFIT期間11年間で得られる収入の想定は、1,884万4,848円です。

太陽光発電投資は儲かるには事前の計画と効率的な運用が必要

2019年度も太陽光発電投資で儲かることは可能といえます。

その為には、2012年の固定買取価格時の水準で、太陽光発電を運用する方法を継続するのではなく、買電を減らしたり初期費用コストを抑えたりなど、支出を減らすことも考えながら運用することが儲かるポイントとなります。

また、最近では儲かるという点も考えつつ、自家消費で買電量を減らすことに軸を置いた太陽光発電投資の運用方法も注目されています。

太陽光発電投資で儲かるには、支出や買電という点もよく考えて導入するのがいいでしょう。

まとめ

太陽光発電投資は、国のFIT制度(固定価格買取制度)により20年間売電価格が保証されるため、ローリスクで始められる投資です。

売電価格は下落傾向にありますが、設備費も安価になってきているため、利回りは高めをキープしています。

中古太陽光発電所の場合、初期費用を抑えて利回りの高い投資が実現できる物件もあり、個人・法人の双方におすすめです。

安定した投資を始めたいという方は、ぜひ検討してみてくださいね。